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2025/01/25

いろいろ採用報告

・鞄抱きかかえて眠る親しみはA4よりも少し小さい

(NHK短歌4月号掲載 題「鞄」 東直子さん選 佳作)


・制服を脱いでもシャツだ。また脱いで俺になってもこの四畳半

(夜はぷちぷちケータイ短歌 題「制服」 田口綾子さん選 放送外)


・人間の声を桜に与えたら「ああ。」と漏らして君へ散る朝

(NHK短歌  題「桜」 米川千壽子さん選 特選三席)

                  

******

1首目
鞄はちょうど小さい子の持つテディベアのような働きをしているのではないかと思うときがあります。
たとえ中に何にも書類や貴重品が入ってなくても、つれて歩いていることで安心感をえられるような。
その相棒にもしも心があるならA4よりも少し小さい、つまりB5ぐらいかも知れませんが、大人の胸の幅にすっかり収まってしまうサイズがふさわしいのではないでしょうか。
というわけの分からない歌でした。ついてこーい!

2首目
これも分かりにくいですね。反省。 
この制服は詰襟ですが、特に首の辺りを硬さでもって締上げてくる存在なわけです。
ところがその下のカッターシャツもなかなかどうして窮屈なやつなのです。「この束縛から逃れたい、息がしたいんだ!」と、思ってボタンをはずしたところで、部屋からは逃げられないという事に気付きます。学校でも家でも苦しいという吐露に「脱ぎ」の色気を加えてみました。←加えるなW

3首目
米川さんに採っていただけるようになりだしたら終了です。
クレープが良い感じで焼けだしたら生地が無くなるみたいなorz

ゲストの関川夏央さんに「ああ。」の「。」がいいと言っていただいたのはうれしかったです。ここの表記は最後まで迷ったところです。
「ああ……」にするか「」要らないかとか。とにかく一呼吸おきたいというのはありました。
「ああ」の詠み方がそのままこの歌の解釈だと思うのですが、みなさんの声にならない声を聞いてみたいです。官能からオカルトまで揃いそう(笑)
さらに関川さん、「「君」とは誰なのか気になる」ということもおっしゃってましたが、答えはお持ちのようでしたW


普通にのんきな記事を書いてしまいましたが、こんな状況で年度終了となってしまいました。残念です。しかしながらN短の選者のみなさま、二年間お疲れ様でした。楽しい時間をくださって本当にありがとうございました。
これからも「普通」になるべくやってゆきます。普通がひろがれば良いと思うので。
人として普通に行うべきことを普通にこなす。募金、節電、買い占めないなど、普通にして平気で生きてゆく。そうしたいと思います
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2011/03/29 報告 Trackback() Comment(3)

東北関東大震災

3月11日から二週間が経ちました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、ご遺族や生活基盤を奪われた方、不安のなか懸命に明日のために闘っておられる方へ、謹んでお見舞い申し上げます。

僕も阪神淡路大震災に遭いましたので、報道を見るにたびに当時のことはよく思い出される(フジパンのこんな製品を食べていたとか些細なことまで)のですが、それにつけ今回の事態の厳しさをますます感じます。仮設住宅が早く建って、それが早くなくなって、普通の暮らしができる日が一日でも早く来て欲しいと切に願います。
そのために僕ができることといえば募金に応じることぐらいです。少ないですが継続的にしてゆきたいです。

・世の中は常にもがもな渚こぐ海人(あま)の小舟(をぶね)の綱手かなしも
(源実朝)
平穏な日常の希求と人の絆の愛(かな)しさを詠んだ歌。祈りにも思えるので記します。


自身の歌のほうに関しては取るべき態度がまるでわかりません。自分の歌はほとんどがよまい言。けれど詠まなければ空しさに慣れきってやめてしまいそうな気がして、それが怖くて無理やり詠んでいるのが現状です。
自分のありかたを考えさせられます。
「綱手」をたずさえるに足りる自分かとか、その仕方についてとか。

2011/03/25 その他 Trackback() Comment(0)

『うたらば』~細雪

語らない唇のため降る雪を刹那消し去るコンビニの灯は


*********************************


田中ましろさんが発行されているうたらばにて拙歌を採用していただきました。ありがとうございます。

素敵な写真と詩が添えられ、歌の世界を広げてくださっています。ぜひご覧ください。

また、先だっては左側にご覧いただけるかと思いますが、うたらばのブログパーツにおきまして

武蔵丸!武蔵丸!って呼びながら歪なピンク叩き続けた

というふざけた?はじけた?一首も拾っていただきました。
個人の情熱によりこうして楽しい発表の場が提供され、また短歌を知らなかった人たちにも魅力が伝わっていくこと。ましろさんのご尽力にあらためて感謝です。

2011/03/07 報告 Trackback() Comment(0)

ふらっと東

どこにでも豊島屋のある町に来てはずし始めるコートのボタン

紅梅の真上の鳶の旋回に恐ろしいほど青は遠のく

倒れつつ咲く梅のため職人の血は入れ替わり朝を重ねる

ゆらゆらの坂にどすんとバスがいて八幡宮の鳥居とわかる

婚礼の儀を眺めてるフランスの人の肩越しのぞく新郎

頼りすぎ叛かれるとう二月のお告げに青い鳩がいました

豊島屋にそれでもよってしまうこと。しかたないよね。本店だもの

昼過ぎの電車の席は熱すぎて気化したように改札へゆく

階段を越えてもいまだ迷う背にオコジョみたいに現れられる

チキチキと行く君の横おそらくは猫背の影を引きつれたろう

消えかけのゼブラゾーンを前にして昼ですねえと赤を見守る 

「それギアが違うよ」むかし教官が吹いた冷気の伝うストロー

綱なんか砂に埋もれてしまっててしどろもどろも飲み干している

ひたすらの阿弥陀くじなどゆくような会話の耳の間に座る

色彩の間(あわい)のうちのそれぞれにあなたは眠り詩を夢みてる

志高くうつむきがちなひと 時間のことも気づいてくれる

お休みと言われるふしぎ浴びながら振り返るのがこわかったこと

間違えたかもしれないとあせってもそれであっててたどり着く駅

口あけて寝てる隣に腰おろしCHOICEはきっとしまっておこう

乗客の少ない駅に降りるとき小さくなって新登場す

雨の夜の親しい疲労感なども眠れば消えてしまうか 鞄

2011/03/01 その他 Trackback() Comment(0)

五人のランチ

・ケータイの声を片手に振り向いて偽名同士で手を振っている


・常日頃わけわからないかんじだから相当程度わけわからない


・昼をゆく緩さのままに揺られいてああそうなのか 空はまぶしい


・イーマイーマイーマイーマイーマイーマイーマイーマ(メンボクナイー)


・既視感のあるメンバーは集まって黄レンジャーは俺かと想う
(赤…T(旧S)さん、青…Mさん、緑…Tさん、桃…Rさん)


・(電話して予約した時このお姉さん!)赤と知らずに頼む飲み物

・たくましい腕が差し出す青空に桜は咲いてみんな本気で


・ペン先を迷いの中に生かしつつ考えなしに飲み干してゆく


・チンゲンサイ泳がしながらそれぞれの構えについて考えてみる


・全員が炒飯を食う。カオスとかペルソナだとかやり合いながら


・センセーは今日も案外おとなしく、そして鋭くP音を解く


・この後も歌会に向かう鞄にはなんぼでもなんぼでも詰まってるんだ


・真人間。それは星かも知れないしもう越えかけた青い丘かも


・春風とサンタクロースはやって来た。かごんま詰めた風呂敷提げて


・解散の仕方はいつも初めての肩にとまった小鳥のようで


・それぞれにゆくんだなあと昼を吸う知らないビルの角に光った

2011/02/27 その他 Trackback() Comment(2)

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