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2024/04/26

2012 7/22 信楽へ

・乗客は狼狽しない顔をする急停車した車内において

・貴生川に駅舎はないということに戸惑いながらワンマン電車

・報道のなかの記憶と目の前の「ありがとう25周年」揺れて

・きんきんと緑をわけてすすみゆく知らない夏が呼びかけてくる

・ああ狸たぬきタヌキたぬきタヌキ信楽は信楽として空の広さ

・細い子が薄く笑って立っている とてもお世話になります(おじぎ) 

・「新聞屋さん」と呼びたし。有機的な開き方する自動ドアさへ

・ずらり黒いスーツいならびその奥に深い力を隠したミシン

・おじさんが熟練マジシャンさながらにいれてくださる豊かな煎茶

・「こんにちは!」お腹からでた歯切れよいあいさつに乗り遅れてしまう

・猫の背に乗るようにして助手席へイントネーションまったりとして

・ドリアンのチップスという芋を食べ魅せられている鉄の光彩

・ちょうどよく電気自動車あらわれて枝垂桜の緑を越える

・近未来を描いて久しいぼくたちが近未来的トンネルぬける

・階段と床のさかいを夏の陽があいまいにして躓いている

・ガードマン立つといわれる建物の頭部がこちらがわを見ている

・年甲斐もなくマット画のトンネルへ突っ込むボケは考えてみた

・古来から牛は人気の生き物で暗闇ひかり光くらやみ

・ヒグラシとつり橋越えてトンネルへ吸い込まれたら冬を思った

・お内裏さまお雛様とか関係ない圧倒的にタヌキだここは

・なんらかの別れの歌もあるだろう赤い狸たちのあいだで

・くるくると元店員が包むとき「ひゃっ」と声を漏らしたタヌキ

・茶畑とおはぎとカレーと陶器屋と霧のでる道、鹿の出る道

・鹿の毛が車両に付着するという とびだしくんを鹿は知らない

・ひるがえる旗には「天下一品」と。青田のむこうへといざなわれ行く

・飾り皿のようにどんぶり飾られる床の間の前ラーメンを待つ

・店員としての言葉と知り合いとしての会話の濃厚スープ

・もうこれで一杯やって寝てもいい 思いがけない旅館のお風呂

・「とっぷりと日が暮れる」という「とっぷり」の意味がしんじつ分かって夕べ

・静けさが鼓膜にやさしいよるだからケータイだって眠ってしまう

・主宰者は思いのたけをしたためる青いノートに青いインクで

・アーカイブ残しているということのおそろしさには後から気づく

・座ったまま遠いところへ連れてってもらえるままにただ声をだす

・何杯も爽健美茶を飲むほどのあれは緊張だったと気づく

・寝込んだと思えば3時 休まずに地球をまわす人の気配す

・青森で相撲をしてる子供らのニュースのうちに脳が整う

・四足に分散される体重を腿に受け止め腕に鼻息

・ポテトのなかにレーズン入って美味かったことを一生忘れはしない

・バター苦手と言っていたのに美しくバター切ること忘れはしない

・結局は24時間どうされているのかよくは分からずに朝

・裏の白い切符手にしたさよならが朝に馴染んでしまうさみしさ

・平日と夏休みとの混在が駅につくたび磨かれてゆく

・昨日から電車に乗って今日に着く 時計を見れば傾くからだ

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2012/07/23 毎日詠 Comment(0)

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