毎日詠 | 短歌手控え

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・さくら色を決まった長さに切り離し重ねるうちにまどろみの森

・閉じているまぶたを想う。ふいに揺れあやうく開きかねない君の

・なかなかに時間を上手く使えずに新聞配る原付の音

・落ち込めば抜け出すことは難しい掛け布団敷布団のあいだ

・暴風雨その中をゆく自転車のおじさんが持つドーナツの箱

・近づけばきゃっと驚く猫のごと風吹くたびに首をすくめて

・保険証と診察券を取り出せば受付られないような気もする

・口を開け体ゆだねる椅子のうえ君のみつめた世界ひろがる

・白木蓮、雪柳、月、追い越して追い越せなくてたどり着く家

・この古いキムコも幾分効くかもと棄てられなくて季節はめぐる

・いらいらとうずうず入り混じりながら角や新芽や嘘や冗談

・終わりとは真っ暗やみのうす明かり。目は閉じて美し開けて芳し

・風による自転車ドミノ。悲劇には満たないものの多い日常

・人は居るけれどもロックのされていないトイレのドアの青だ私は

・からっぽはよく響くのだ。からっぽはつまらないのだ。つまると消える

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