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2019/11/20

2015 12月のはじめ

ダンボール箱をつぶしせば明るんでゆく部屋に出番を待っているもの


わりと雑 袋に入ったままでいて床に上下を失っている


百均のカードのような電子音アルミサッシの窓の隙から


その意味と違う重みで「極月」の文字を見つめる師走の机

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2015/12/15 日々の歌 Comment(0)

食器を買いに行ってお世話になったこと

口蓋に茶飴の角はやや痛く舌で転がし想う信楽


柿の木に柿はたわわで古いバス新しいバス次々停まる


動物注意の標識越えて街にでる。黒い話はとても楽しい


静けさのうえに座って人と猫、野球カステラ分け合っている


「これだけ風通しいいから大丈夫ですよ」と言ってアレルギー出ない


ぶんぶぶーんぶんぶんぶーんかっこいい平種なし柿みたいな車で


駅前の電話を守る大狸 ハロウィンはもうここまで来ている


四枚のピザと一つのリゾットを五人で分ける紅葉見ながら


杭に犬くくられていてその杭を中心にしてくるくる回る


次々と子供が撫でにやってきてリードは張ったり緩んだりする


ベビーカー、犬もたくさん行き交って芝生の広場湿りを帯びる


高そうなお皿は高い。高そうで要らなさそうなお皿も多い


手にとって厚みや固さや色あいが地味で嬉しい小鉢購う

2015/10/20 日々の歌 Comment(0)

ライオンキング

劇場の座席に着けばスボンやらシャツのフィット感が気になる


四ツ脚のキリンの意思は関節に生まれてこつこつ地上を歩む


ハゲタカの影のつま先伸びてゆく そこだけ夜で顔見えません


草原は確かなチームワークにて風の速さを教えてくれる


光線は鳥を炎にしてみたり空や月にして忙しい


チーターはお辞儀をすればチーターの中もお辞儀をしていて笑顔


アフリカを連れてきたのは猿だったと後に判明する人の声


肋骨の波打際に汗光る危うく歌を響かせながら


座席にはわっかが付いて傘立てになってるらしい 今日は晴れです


もし独裁国家で上演したならば 高く聳えるプライドロック


拍手へは小動物の機敏さをもってすたんと引き上げる幕


その気持ち少し分かった。両の手を振ってる人の背後に立って


スロープの向こうはトイレ。トイレから出てくる妻を歩きつつ待つ


5時には~、と説明される人たちの半円形を掠めて出口


エスカレーター降り折り降りて平熱に近づけながらお腹が空いて

2015/10/04 日々の歌 Comment(0)

オリンピック飯店

上新とイオンの狭間、斑鳩の中華食堂オリンピック飯店


すでに二人で行った話はしないまま義母と義父とに便乗をして


バス停のようなスペース店先の青天井のロビーにて待つ


くっついて丸テーブルに一列に座る映画の『家族ゲーム』か


店員は全員黒いTシャツの前にいる人ほど着慣れない

(この前は確かピータン頼んだな…)餃子あ僕も うやむやピータン


ハーフというシステムあるが使わない。洗面器みたいなちゃんぽん麺来る


辛いもの大丈夫かと確認は一応受けて麻婆豆腐丼来る


すぐ出来てすぐに運ばれ皿密度高い中高年のテーブル

相席もお持ち帰りも多い店 学食よりも早食いになる

支払いにポケットへ手を差し込めば義父に寄切りされて店外


白球が上がれば見失うような空の下にてお腹いっぱい


胃薬をもらって寝転がっている。マーキングした犬の気持ちで

2015/08/01 日々の歌 Comment(0)

中家菜津子『うずく、まる』を読んでのあれこれ

頬杖をつけば冷たいてのひらにわたしはふたりいるんだろうね (中家菜津子)


新鋭短歌シリーズ・中家菜津子『うずく、まる』を読んだ。

表紙はゴッホの絵。糸杉がそびえる夜空は渦をまくような独特な筆致で描かれる。
これは重い、と思いながらもよく見ると意外に夜空は明るい青。月も星もひかりを放つ。
それは一冊を通して読んだあとのイメージと綺麗に結びつく。
先に総括的なことを述べるが、家庭の事情か健康上の問題か、昼間は外で遊べない子供が夜ひとりで思いっきりやりたい放題遊んでいる、そんな印象を受けた。


作者は言葉で遊ぶ。
見開きに5首から7首。それに詩が組み込まれるから情報量としては多く読みすすめるのになかなかのパワーを要した。生命力旺盛な子供と遊ぶには体力がいるというわけだ。


たまもかる沖を眺める何もかも風にゆだねる真夏のかもめ

木漏れ日の椅子にこしかけこすもすをひねもすゆらす風をみおくる

かえりたくない日にしりとりくりかえすかなりあありあありかかなりあ

やわらかな月のゆばりを浴びるのはひばりの声をさえぎった窓


表題になっている

うずく、まるわたしはあらゆるまるになる月のひかりの信号機前

も「渦」、「疼」、「丸」「。」と込められている。言葉の響きとイメージの連鎖が自然とも巧ともいえる絶妙のところにある。

先に「やりたい放題遊んでいる」と書いたが(誤解のないようにはっきり書きますが、これは肯定的な意味です)、「歌集」に「詩」を編み込んだのはまさにそう。
歌集といえば「連作の束」というのが通常だが、「詩との融合、越境」ということとはまた別に「短歌を発表するしかた」として­考えさせられる。
イラスト×短歌、写真×短歌、というものもすでにあるけれども、自分が短歌を世に送り出すとき従来の「連作として」という方法以外に何かないかということを思いめぐらした。

詩と短歌のフュージョン作品ということでは《etanpet》がとても印象深かった。
最後の注を読んでああそういうことか、と思ってもなお、現実と夢を行きつ戻りつするようなゆらぎのひと時を過ごすことができた。

短歌の連作としては

「沃野の風」

じゃがいもの皮を剥くとき母親と同じ仕草で首を傾げる

だだっ広い胡瓜畑の迷路にて父は年々大声になる


一首としては

バスの窓に額をあてるこの街のどのネオンより雪は青くて

歯車のひとつのようなケチャップの白いキャップが床をころがる

フィクションを読む人おおきなくしゃみして新聞を読む人が驚く

椅子はみな睡蓮に似てそこかしこにうつむく人の背中をつつむ

親指で傘をひらくとひとつだけ折れてしまった銀色の骨


などから広がるイメージを特に楽しく読んだ。

はじめ一人による共作として「作者がふたり居るよう」とする締めくくりを考えていたのだが書き進めるうちにそうでもなく、何か一貫した視点のようなものを感じている。
あるいはふたりいたとしても仲良くやっているのだろう。
一首でも連作でも詩でも今後の展開も楽しみにしています。

2015/07/26 その他 Comment(0)

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