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2019/11/20

土岐友浩『Bootleg』を読んでのあれこれ

言葉にはできないことが多すぎて菜の花の〈菜〉のあたりに触れる (土岐友浩)


書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」・『Bootleg』(土岐友浩)を読んだ。

「言葉にはできないこと」に対して穏やかにして相当な執着がうかがえる歌集であるように感じた。


来た道を歩いて帰るさっき見た花火のことをずっと話して

なんとなく空がぼんやりしはじめる山と山とが重なるあたり

雨らしきものはけっきょく降らなくてスクールバスが県道を行く


難解な言葉、表現が使われないところは一貫している。見開きに3から4首で編まれていて平明でありゆっくりした時間が流れている。この「ゆっくり」ではあるけれど「時間が流れている」という印象は連作のなかだけでなく一首のなかにもたびたび色濃く感じた。
何気ないうつろいを何気なく切り取る魅力。
しかしまったりさせられるばかりでなくて、時にぽんと下の句が飛躍をみせるところが心地よい。

いまはもうそんなに欲しいものはない冬のきれいな木に触れてみる

砂浜はまだつめたくてあなたなら僕よりもっと遠くまで行く

夕空が酸化していくこの道を血だらけになるまで歩きたい


また飛躍というよりも唐突だったり混乱をきたすようであるけれどイメージがすっと腑に落ちるような歌も。

ようこそ、新しい家へ。両耳に鈴の入っているぬいぐるみ

あざやかな記憶のしかし桜草死を看取ったらあとは泣かない


「言葉にはできないこと」をどう表現するかというところで、「言葉にはできない」ことが「金魚」だとしたら金魚掬いの「ポイ」としての短歌に「無理をさせない」「水の抵抗を与えない」ということに注意をされて水の中をのぞき込んでいる作者の姿勢を、屋台のオヤジであったり客であったり金魚であったりと立場をいろいろに変えて見て取れるようでもありました。






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2015/07/22 その他 Comment(0)

工藤吉生さんの短歌を読んでのあれこれ

『工藤吉生短歌集』をいただいて読んだ。

プロ野球選手のカードを集めるがG・G・佐藤ばっかり当たる

自分が工藤さんの短歌として読んだ最初は、「うたらばの集い」で目にしたこちらの歌だった。
その時は素材というか着眼点が面白い歌だとは思ったが、詩情の面では物足りないように感じた。
しかし今は自分の鑑賞が十分でなかったことが分かる。
「G・G・佐藤ばっかり当たる」ことを「かなしみ」とも「不条理」とも書かず、規定せず、「事実」だけをまるでカードをバサッと投げ出したように提示したことで、読み手の経験であるかのように脳に入り込んでいくように思われる。
この歌は実際今もっても忘れられない一首となった。

工藤さんの歌が記憶に残る理由として太い油性マジックで書かれたような力強いフォルムを持っていることもある。

「死ね」という言葉によって君の持つ説得力が自殺したのだ

ヒョウ柄の強そうな人を後ろから見ているオレの柄はチェックだ

「〜だ」とか「オレ」というのは特徴的だけど自分などはすがすがしさを感じる。


一方で繊細さも失われない。

行間に鳴いているのが秋の虫 花火が一つの詩であるとして

朝の陽のまぶしすぎれば回想のようで遠くに自転車の人


また子供に対する眼差しの澄みきったことには本当に驚かされる。


子供にはちょうど良さげな枝だなあ 構えてもよしつつちてもグー

学校のチャイムが鳴った。そのことでやめた遊びの面白かろう

眠ってる赤子に青いミニカーを握らせ思い直して奪う

ぼくは汽車、汽車なんだぞー! と駆けてきた子供がオレにぶつかって泣く



最後に収録されているのは「仙台に雪が降る」30首。
第57回短歌研究新人賞候補作になった作品だ。


親指に指紋があると思い出し無性に見たくなり飛び起きる

透明な犬飼ってます透明な犬用のエサ食べさせてます


中でもこの二首の空恐ろしさが印象深く、また工藤さんの作品のなかでも異彩を放っているように感じた。


とりとめもなく書き散らかしてしまったが、これからもこれまでのような、そしてまた新しい工藤作品を楽しみにしている。

2015/07/07 その他 Comment(0)

2015 3月尽

お風呂場の天井裏に隠れてて湯気を含めばきゅるきゅる回る


こそげたらいやこそぎたいドライバー綿棒木べら歯ブラシ他で


蓋をして回してみたらくしゃみしたみたいに埃出す換気扇


ハタハタを初めて食った。頭から食ったし妻の頭も食った

2015/04/01 日々の歌 Comment(0)

立春・リス短歌

うさぎには申し訳なく一円分どんぐり贈る三円のリス


男たちがリスを育てる。リーダーとタツヤが胡桃の苗木を植える


カクダイかカクダイなのか!コリスだと思い込んでたクッピーラムネ


しりとりを覚えたリスは「リス!」のあと「スリ。」と返され悲しくなった


エゾリスは冬眠しない。エゾリスはひどい言葉を言ったりしない


リスの名はノボル。のぼってものぼりきっても金網だけど


ハローハロー リスは返事をしないけど心のドアをそら色に塗る


アマリリス。余りのリスは居ないかと地上の人に問いかけている


「リスクマネジメント」て何だ。リスと熊、螺子は分かるがメントて何だ


「リスカ」なら意味は分かるよ。シマリスがかーっとなって落ち込むやつだ


リスカとは動物界脊索動物門哺乳網ネズミ目のリス科のことだ


慎重を期しても木々は枯れるけどこのシマリスのシマは消えない


春立てばリスの尻尾が生えてくる。風に膨らむ誇らしい尾が

2015/02/05 日々の歌 Comment(0)

2014 冬のはじめ

自転車を押してぐるぐる回ってる住宅街を祝われながら

何分のいくつだろうか ふわふわと分母のような夜を歩いて


甲高くかつ胡散臭い声を聞き何かに例えたくなる気持ち

鯛焼きをちぎって食べる夜の道 いつかはなつかしくなる景色

真剣にやばくなるのは何日目? 消費期限を過ぎた切り身が


そういえば机の上の冬瓜が消えていた気がする 停車

犬が居て犬は「ぐるるる……」と言った。冒険やめてボール投げよう

十二月なのに早速複雑だ。犬は二月生まれと知って

なんかもう変なかんじで電車乗り降りてすこぶる変なかんじだ

2014/12/08 日々の歌 Comment(0)

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